日本一外国人の多い街・埼玉県川口市の苦難-犯罪取り締まり強化へ

埼玉県川口市が、一部外国人の違法・迷惑行為の取り締まりを強化する方針を明らかにした。奥ノ木信夫市長は市議会で「不法行為を行う一部外国人を警察と連携して取り締まり、市民の安全と安心を確保します」と言明した。また川口市当局からは、税務調査、警察との連携を強める方針が示された。6月19日の市議会での奥富精一市議会議員（自民党）の質問に対する答弁。

奥ノ木川口市長「取り締まりを強化し、市民の安全を確保」

地方でも国政でも、議会で外国人による違法行為や治安悪化の問題について正面から向き合う議論は珍しい。外国人問題は、それを批判すると、「差別だ」などとの攻撃を一部政治勢力から受けて冷静な議論ができずにタブー視されてきたからだ。川口市民だけではなく他地域の人に参考になると思われるために、4000字のやや長い原稿となったが詳細を報じる。

川口市は人口約60万人のうち、約4万人の外国人が住み、日本で最も外国人の多い自治体だ。議会の質疑では国名、民族名は示されず「一部違法行為を働く外国人」という曖昧な表現が使われた。しかし誰もが念頭にあったのは、トルコ国籍のクルド人の問題だ。彼らの違法行為について、私は「with ENERGY」やさまざまな媒体で5月以降伝えた。良いクルド人が静かに暮らしていることは確かだが、問題が大きくなりすぎている。

奥富議員の質問では「一部外国人の行動に住民は恐怖の中で生活している」という表現が使われ、市当局からもその認識への異論はなかった。事態が深刻になっていることがうかがえた。

税制面から違法行為をチェック

奥富議員の質問は「1・仮放免者の実態」「2・不法行為の実態、特に危険運転・騒音を出す違法改造車両への対応」「3・教育などの具体策の提案」だった。それに市の回答と私の意見を加える。

【仮放免者の実態と税金】奥富議員は仮放免者の数を聞いたが、市は把握できないという。日本は不法滞在者は原則、送還まで入管の施設に収容される。仮放免とは、一定の条件で、その施設外で居住できる制度だ。原則就業はできない。ところが川口市のクルド人はこの制度を利用し、同族の経営する解体業者で働き賃金をもらっているらしい。そして適切に納税していない模様だ。

仮放免者は人権保護のために、入国管理局から自治体へ居住先を通知することを拒絶することができるという。行政サービスを受けられないものの、納税を脱がれたり逃亡しやすくなる彼らにとってのメリットはある。おかしな仕組みだ。拒絶する人も多いため、川口市当局は滞在者の全容は把握していない。

また外国人経営企業の経営実態、賃金の支払いなどは不明な面がある。川口市は今後、国の税務当局と連携し、市内の外国系企業の調査と市民税の課税を進めるという。

以下は私の考えだ。1920年代に暗躍したアメリカのギャング、アル・カポネは、法の抜け穴を駆使していたが、FBIが税務面で捜査して脱税で逮捕された。クルド人の働く企業の税務・労務面からの捜査で、違法者の摘発は進むかもしれない。

警察と連携し、パトロールを強化

【一部外国人の不法行為の実態、危険運転・不正改造車問題の対応】不法行為の実態については、埼玉県警は川口市当局からの問い合わせに、明らかにしなかった。そのために、川口市内での国別の逮捕者、警察への通報数、犯罪内容については分からない。ただし県警は、川口市西部で外国人の危険運転、騒音などの110番通報が昨年夏ごろから急増したことを認めたという。市当局は違法行為をした外国人への厳正な法適用を警察に求めていくという。

奥富議員は質問で、暴走行為を止める外国語の注意喚起の看板、垂れ幕の掲示をすることを提案した。民間委託によるパトロール、いわゆる「青パト」事業を、川口市当局は行なっている。この活用も奥富議員は提案した。これに市当局は前向きに応じた。市民の要請のあった地域への青パト巡回を増やし、夜の実施も検討するという。また埼玉県には、刑法に触れない騒音、女性へのナンパなどを取り締まる「迷惑防止条例」がある。青パト巡回の際には発見し次第、積極的に通報するそうだ。

私の考えだが、一部の行儀の悪いクルド人は、日本の警察を舐めている印象がある。一度、警察権力を強く行使し、萎縮させてほしい。特に危険運転と改造車は交通事故を招きかねず、住民が困っている。強く取り締まるべきだ。

【その他対策】奥富議員は、一部外国人の児童の不登校問題を聞いた。川口市当局は一部児童が日本語習得ができず、不登校の原因になっていることを認めた。ITを使った翻訳機器の提供、また日本語専門指導員の拡充を行うという。また市当局は生活困窮世帯の児童の補習支援をしている。ところがトルコ国籍、おそらくクルド人の利用者は7名しかいないそうだ。クルド人の義務教育就学児童は数百人いると見込まれるが、学習意欲が乏しいことが示された。市民によればクルド人の大半は、小学校高学年頃から学校に来なくなり、男の子は解体業で働いているという。

奥富議員は、スポーツ少年団の外国人児童の積極的受け入れ、外国人経営企業の、市の産業界、集まりへの参加を提案。これも市側は賛成し、積極的に呼びかけるとした。

「一部外国人による犯罪取り締まりの強化を求める意見書」6月中に可決へ

質疑終了後に、奥富議員は「市長も市側も問題を正確に認識し、前向きな対応を約束いただいたことに感謝している」と話した。市の積極性は私も感じた。

また自民党川口市議団は、内閣総理大臣、国家公安委員長、埼玉県知事、埼玉県警本部長などに宛てた「一部外国人による犯罪取り締まりの強化を求める意見書」を市議会に提出している。奥富議員は、6月中に市議会で可決されるとの見通しを示した。「市議会の意見は重い意味を持つと受け止めています。国と県の支援が問題解決につながることを期待します」と奥富議員は話した。（記事「埼玉県川口市、外国人の迷惑・不法行為是正に自民党動く」）（注・6月29日に、自民党、公明党の賛成多数で可決。共産党、立憲民主党は反対した。）

この意見書に、共産党、立憲民主党、れいわ新選組は、反対の構えだ。川口市民の安全を守るための行動を、なぜ反対をするのか理由は不明だ。

川口市はようやく、一丸となって違法外国人問題に向き合い始めた。外国人に、この情報が伝わってほしいと願う。日本人、埼玉県民は違法行為や迷惑行為に怒っており、このまま傍若無人な行動を続けたら、法律が適用され、日本にいられなくなることを知ってほしい。特にクルド人は、日本にいたいなら、政治難民という嘘をつくことなく、合法移民、就労に切り替えて、秩序とルールを守って、生活してほしい。そして彼らを受け入れた埼玉県南部の人たちに感謝を示してほしい。

「多文化共生」政策の光と影

そして市議会の審議を聞き、川口市の大変さを思った。私は報道で、川口市当局の対応の遅れ、準備不足を批判した。その考えは変えないが、市当局は手を打っているものの、悪い外国人が増えすぎて、問題に対応しきれなくなっていることが理解できた。

奥ノ木川口市長は、2014年に当選した。保守系だが「弱いところに光を当てる」というスローガンを掲げて社会保障政策を重視してきた。「多文化共生」も政策にして外国人支援も充実させ、川口市への外国人集住が近年急増した。その結果、違法行為をする外国人までも増えた。善意の政策が、予想外の問題も呼び寄せてしまった。「外国人に暮らしやすい街」ではなく「外国人に暮らしにくい街」を作ってほしいという意見も、川口市の現実を見れば、各自治体でも出てくるだろう。

奥ノ木市長は答弁で「国が一貫していない政策を地方自治体に押し付けています。今回の問題もその一つの現れと認識しています」との不満を述べた。私も、そう思う。国の移民政策、外国人政策は、外国人労働者を増やす方針だ。しかし国民的な合意がなく、曖昧さも残す。どこまで、どのような形で外国人を受け入れるのか、明確ではないのだ。そして実際の措置は自治体に押し付け、予算措置も限定的だ。川口市のクルド人は多くが「日本で働くことを目的とした偽装難民」と思われる。彼らは国の制度の抜け道を使って、居住と出稼ぎをしている。

こうした事態を解決するために、国は外国人をめぐる政策の方向を明確にし、その上で地方自治体に措置を委ねるべきだ。また安易に共生政策を行うと、外国人の集住が加速してしまう可能性がある。地方自治体は、外国人の受け入れをできる限り、慎重に行うべきだ。

外国人の受け入れ、「共生」は無理と諦めよ

外国人をめぐる政策をどうすべきか。私は外国人を日本に急激に増やすことに「反対」の立場だ。この1ヶ月、日本のクルド人問題を取材して、かつての移民賛成から変わった。日本側の準備が全くできていない。そして日本の秩序を壊す悪い外国人が必ずいる。川口市のように、自治体でも、個人でも、それに対応しきれなくなってしまう。増やすにしても、ゆっくり、慎重に行うべきで、労働開国はするべきではない。

「外国人労働者は、少子高齢化の進む日本で、労働力確保、経済活性化のために必要だ」という議論がある。本当にそうか。確かに移民労働力は一部企業を潤す。クルド人の経営する解体業者は、安いために、関東の建築業界で使われている。

しかしこの審議で、川口市と地域住民が、外国人対策に膨大な負担を、金銭的にも精神的にも受けていることを改めて感じた。外国人問題を考える際に、この見えないコストを考えるべきだろう。一部企業を儲けさせるために、地域住民が負担をしていいのだろうか。

外国人は突如訪れて、日本人が営々と作ってきた社会制度やサービスを急に使う。川口市民によれば、クルド人たちがコロナ支援金10万円の手続きをうれしそうに受けている光景を見て、おかしいという気持ちになったという。トルコ東部のクルド人は、主な仕事である農業と羊飼いで、現在日本円換算で月5万円ほどの収入しかもらえないそうだ。

日本では、外国人労働者の利益と公的な負担のコスト分析の研究は、私の調べた限り信頼できるものはない。西欧では「本当に移民は利益があるのか」という議論は続いているが、最近は負担の大きさが指摘されるようになった。西欧では大量の外国人移民で、国の形が変わりつつある。

日本も一回、立ち止まり、外国人政策をどのようにするか、考えるべきだ。今のまま、国民全体の決意もなく無闇に外国人を日本に呼び込むことは、混乱を引き起こし、国の形を変えてしまう。川口市の苦難は、明日のあなたの住む街の姿であるかもしれないのだ。

石井孝明

経済記者　with ENERGY運営
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