外国人を差別してはいけない-在日クルド人への嫌がらせが発生

石井孝明
ジャーナリスト

在日クルド人への差別、嫌がらせが、埼玉県で発生している。SNSやネット報道、口コミで埼玉県南部に集住するクルド人の触法行為が5月から広がり、彼らへの批判が増えた。今まで全く伝えられなかったことの反動だろうが、広がりすぎて一部日本人のおかしな行為を誘発するようになった。これを止めなければならない。地域での人々の対立や混乱を生む可能性があり、外国人の差別や嫌がらせは日本社会を内部から腐らせる。そして当事者の埼玉県民はそんなことを誰一人として望んでいない。

多民族の共生が実現するのはいつの日か(イラストはイメージ、iStockより)

在日クルド人への言葉と体の暴力

7月のある日、クルド人と結婚する日本人妻と、その小さい子供が川口市内を歩いていると、いきなり中年の男性が他に誰もいない路上で、「お前らは悪いことをするクルド人か。日本人に迷惑をかけるなら、日本から出ていけ」と、怒鳴りつけ、去っていったという。2人はびっくりし、子供は泣き出してしまった。この人の夫は合法的に日本に滞在して日本人と結婚し、静かにビジネスをやっている。違法行為などしたことはないおとなしい人物だという。子供は差別された経験がなく、そのショックからなかなか回復しないそうだ。

また7月のある日の夕方、クルド人の障がいのある女の子が、近くに住む、中年男性に投げ飛ばされたという。それを訴えてきたクルド人男性がいた。その女の子の叔父だ。その人は親族を集め、抗議に行くという。私は新型コロナの療養中だったが、争いを心配し、その事情を詳細に説明してほしい、よかったら私がその場で立ち会っても良いと返事をした。翌日、町内会の日本人が立ち会って、その暴力を振るった人に謝罪をしてもらったという。トラブルの詳細はわからないが、問題は大きくならなかったようだ。ただし、女の子への暴力があった可能性があり、それは許されない。

このクルド人は、日本社会に協調しようと努力してきた。この人は日本に感謝し、ボランティアで清掃活動や地域社会への寄付を行って、会社を事実上経営し(名義は奥さんだが)、利益を合法的に出して納税もしっかりしている。それなのに、この仕打ちだ。「努力が無駄になって虚しい。何もやる気がなくなった」と話していた。この感想は悲しい。日本の友人であるクルド人を一人失わせかねない。

また女性や子供という弱い立場のクルド人を狙い暴言を吐くのは、非常に卑劣で恥ずかしい。これ以外にも、こうした行為があることを懸念する。

外国人攻撃は、日本社会を腐らせる

真面目に暮らすクルド人が、日本人による暴力や嫌がらせの恐怖に直面し始めた。これは困る。こうした争いは結局、問題を解決しない。憎悪の連鎖を生むだけだ。この問題の解決とは、「国籍を問わず、埼玉県に住む人が静かに平和に暮らすこと」「外国人と日本人が共生すること」だ。これは誰もが合意できるゴールであろう。その解決が遠のく。

5月から、私はクルド人の触法行為、それによる住民の迷惑を、さまざまな形で伝えてきた。他のメディアは沈黙する中で、報道の世界では孤立無縁の戦いだった。川口市議会の奥富精一市議会議員や、川口市民のSNSでの拡散もあり、多くの人が知るようになった。少しずつ同調していただくメディアも出てきた。

私は自分の報道で、間違いや取材不足はあるかもしれないが意図的な嘘は一つもついていないし、外国人・クルド人を排撃しろという発言は一つもしてない。しかし、全く知られていないために、センセーショナルな事例を伝え、多くの人の注目を集めるようにした。自分の行動は否定しないが、こうした日本人による外国人排撃の反作用は起きてはいけないと警戒していた。そして実際に起こってしまった。責任を少し感じている。

確かに、一部の在日クルド人の違法行為は、日本人の郷土愛、愛国心を揺さぶり、反発や応報感情を生んでしまうことは理解できる。しかしクルド人への嫌がらせは、彼らの怒りを生み、人権を侵害する。そして、そうした感情が日本社会に広がることは、社会を腐らせる。社会を動かすエネルギーが、外国人など特定の人々の憎悪、自民族の過剰な優越性の強調になることは、とても危険だ。戦前の日本とか、ナチスドイツなど、歴史の中にそうした危険な社会や国を見ることはできる。

また暴力や差別は相手の反発を生み出して、地域の騒乱につながる。そうしたことは、埼玉県民、特に問題が発生している川口市民、蕨市民も、クルド人も望んでいない。彼らは実際に、そこで顔を突き合わせて生活をしているのだ。

また在日クルド人問題を、イスラム教批判と結びつけて騒いでいる人も散見される。これは危険な行為だ。イスラム教への冒涜として認識されたら世界のイスラム教徒から批判を受けかねず、日本全体、埼玉県民、川口市民が迷惑をする。そもそも、在日クルド人は、人それぞれであろうが、宗教的にかなり寛容で、イスラム色は強くない印象だ。日本人自ら宗教問題「地雷」を踏みに行く必要はなく、騒ぐ人はやめてもらいたい。

実際に私の見た限り埼玉県南部の人々や川口市民は、外国人やクルド人への差別などしていない。上記の2例は、非常に例外的だ。それどころか、日本人は外国人との共生に、誰もが配慮し、外国人を受け入れていた。そうした優しさは日本人の長所であり、私はそれに誇らしさを取材で感じた。

争いを求める政治活動家が入り込む隙を作るな

そしてこの問題に絡もうとする中にいる変な日本人たちには、排除すべき人がいる。

私はこの文章で、日本の左派の一部政治勢力が外国人問題で使う「ヘイト」(憎悪)という言葉を意図的に用いていない。この「ヘイト」という言葉には、手垢ががつき、嘘くさく、政治利用の響きがある。この言葉がおかしくなったように、一部政治勢力は、外国人への差別問題が異様に「好き」だ。そして問題解決を目指すよりも、他者の糾弾や自分の政治的存在の拡大のための行動をし、差別問題をおかしくしてきた。難民たちから利益を得る日本人もいる。そうした人たちに、この問題に関わらせてはいけない。問題が必ず混乱する。

一方で、排外主義を唱える政治活動家も関わらせてはいけない。彼らは、憎悪を煽り、自分の政治主張を通そうとする。前述のようなクルド人への暴力も、こうした人たちの集団から生まれる可能性が高い。

さらに、面白半分で、深い配慮のない一般人、ユーチューバーが川口を報じ始めた。今は「誰でもメディア」の時代だ。その存在は仕方ないが、気楽に騒乱を煽る人々はその危険を自制、自省するべきだ。この問題は画面やネットの向こうの仮想空間の出来事ではない。埼玉県南部では、現実に日本人とクルド人が暮らしている。無責任な情報拡散が現実の騒乱を生んでしまう可能性さえある。

法律の枠内で粛々と取り締まりを

クルド人と治安の問題は、解決まで長期化しそうな気配だ。不法滞在のトルコ国籍のクルド人たちの帰国を促進することは必要だ。しかしいきなりトルコに放り返すことを日本政府はしないだろうし、彼らの生活を壊すことになるために人道的にも問題がある。また公権力の過剰な行使は、特定政治勢力の反対で大混乱が起きるだろう。また警察力の行使が難しい迷惑行為のトラブルがたくさんある。そして今、警察のパトロールが増え、問題が少し改善に向かっている。

私たち日本人が行うべきことは、頼りないし、不信感があるにしても埼玉県警、埼玉県、川口市などの行政機関に対して、違法行為をする外国人・クルド人を取り締まることを要請し、その活動を応援することだ。そしてその法の執行では、法律の範囲内で問題を解決することに留意することを求めることだ。過剰な公的権力の行使は、人権侵害を誘発し、さらには社会を腐らせる。さらに問題を混乱させ、解決を遠ざける。一方ですみやかに、適切に警察・行政が法を執行しないと日本人に不満がたまり、その怒りがクルド人との衝突を生みかねないだろう。

そして難しいことだが、悪いクルド人を批判し、良い行為をして日本と共生する意欲のあるクルド人とは協力していく必要がある。日本人による拒絶、さらには嫌がらせ行為は、こうした社会参加による問題解決を妨げかねない。

また、そうした常識的なことを主張する日本人にさえ「差別だ」と批判を向ける政治勢力がいる。そうした異様な批判におかしいと声を上げることが必要だ。川口市民、私が度々紹介した奥富精一川口市議会議員や自民党川口市議団のように問題解決に取り組む人、またジャーナリスト(と言っても私石井孝明と数人しかいないのだが)などが、正論を言うことを妨げないように社会全体で守ることが必要だ。これまでの日本でも、今の西欧でも「差別だ」という左派やリベラルからの攻撃が、真実を話すことを萎縮させ、移民問題・外国人問題を混乱させてきた。

問題解決の道のりは長そうだが、こうした誰もが合意できる正しい方法を、少しずつ重ねるしかない。クルド人や外国人への暴力や強硬策は状況を混乱させるだけだし、それは日本社会を腐らせる。

(写真2)1935年のドイツベルリン。政党に過ぎないナチスが、ユダヤ人商店に不買を求める張り紙を貼っている。日本で同種のことを起こしてはならない。(ホロコーストミュージアム、ホームページ)

石井孝明
経済記者 with ENERGY運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

9 件のコメント

  1. 米島弁 より:

    正義感の行使って難しいですね。同時に、自分は日本人側に与する立場だけに、バランス感覚を持つのも、想像以上に難しそうです。実際、色んな知識や情報、日々遭遇するクルド人らしき方々の一挙手一投足で、バランスがアッチにもコッチにも揺れ動きます。親記事の事例は、ヤジか八つ当たり、或いは風評加害と言えそうですが、実は、人生には、こうした正義や真理と似て非なるものが溢れ返っています。改めて自分も気を付けないと…。

  2. 三浦小太郎 より:

    今のところこれはまだ例外的な事例ですし、この時点で警告を発することは大切だと思います。ただ、石井氏が責任を感じる必要は(誠実とは思いますが)ありません。そしてこのクルド問題に限らず、「法律の範囲内で問題を解決する」という原則が今の時代ほど必要とされていることはありません。

  3. 三浦小太郎 より:

    そしてもう一つ、この問題はすでに長期化してしまっているため、解決にはどうしても時間がかかります。安全圏の無責任な発言と批判されるのは甘受しますが、「民主主義国では問題解決に時間がかかる」ことにも耐えていかなければならないのでしょう。大切なのは、私たちがきちんとこの問題に関心を持ち続けること、そして石井氏の情報発信を少額でもいいから支えることで、現場の声が聴きとれるようにしていくことです。(本当は川口の警察や、埼玉県それ自体がもっと積極的に情報発信してくれた方がいいとは思うのですが・・・・)

    • 石井孝明 石井孝明 より:

      ありがとうございます。法律の範囲で、長い時間かかっても問題を解決することが必要ですが、法務省の異常な子供在留容認政策など、問題解決を妨げる勢力が多いのが困ります。そしてクルド人は、孤立していて、コミュニケーションを地域社会としていないので、それも危険を誘発します

  4. 名無し より:

    その法律が機能してないのが問題なんですがそれは

  5. naeat より:

    不法滞在者は 難民ではない
    ただの犯罪者
    とっとと追い出せ 屑の底辺国の頭の悪い知能の低い犯罪者
    子供もつれて とっとと出ていけ

  6. 日本人こそ被害者 より:

    2024年1がクルド人が蕨市で緊急地震速報を悪用して、日本人をからかっています。日本の地震を神の罰だとして、煽っています。こんなメンタリティの人種とどうやって共存しろと?日本に住むなら、日本人の流儀を弁えるべきでしょう。できないなら、できるまで来るな。
    日本人のように和を尊び、他人を大事にし、法を守り、地域の人々を守るなら、拒絶などしません。現にそれができる国は、拒絶されていません。
    たった、これだけのことができない人間に意見することのどこが差別ですか?

  7. 偉大なる中国人民 より:

    この人が言ってるのはお互いが尊敬しあって初めて成り立つことなんだよな。
    それができず、地震の被害をお祝いしたり物壊してるから問題になってるんだよ。
    中国とかなら温かく迎えてくれるよ、何しろ中国は偉大で日本とは違うんだから。

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