在日クルド人の数、試算で4000人以上-公称の倍、急増を懸念

石井孝明
ジャーナリスト
(写真1)トルコ大使館前で乱闘事件を起こしたクルド人たち(2015年、NHKニュースより)

トルコ国籍の在日クルド人が、集住する埼玉県南部で住民とのトラブルを起こしている。これについて私は多くの情報を伝えてきたが、答えていなかった問題があった。「彼らは何人いるのか」という問いだ。

メディアの窓口になっている在日クルド人の某団体がある。そこがトルコ国籍のクルド人の数は約2000人と自称し、日本のメディアはその数字を検証せずに繰り返す。行政はクルド人の正確な数を把握、公表していない、恐ろしい状況だ。

(ちなみにこの団体の希望通りの「クルド人は可哀想な人だ」報道をしない私はこの団体に嫌われ、「トルコ政府の回し者」呼ばわりされている。言うまでもないがトルコ政府と私は関係ないし支援も受けていない。彼らは問題を矮小化したがっているので、数を少なく見せたいだろう。)

私はクルド人は公称より多い4000人以上はいると推定している。そして、この1年程度で倍増した可能性があると考えている。

現地の埼玉県民は揃って「この1−2年、クルド人の数が増え、生活態度が悪くなり、トラブルが増えた」と言っている。この急増が問題悪化に影響したかもしれない。おかしなことをするクルド人の数が増え、もともとなかったコミュニティの統制がさらに効かなくなっているようだ。

選挙人名簿からの推定

試算は以下のような形で行なった。さらに在日トルコ人、在日クルド人からのヒアリング、また政治情勢の紹介は、内藤正典同志社大学教授の『トルコ 中東情勢のカギをにぎる国』(集英社)を参考にした。

今年6月のトルコ総選挙で、各国の在外投票の結果が公表されている。トルコは、中東、イスラム圏で、民主制を機能させている稀有な国だ。

日本でのトルコ国籍の選挙人登録数は5672人。投票率は51.8%だった。その選挙結果を示してみよう。(写真2)投票の順は、トップは緑左派党(YSP)904票、2位が与党公正発展党(AKP)で779票、3位が最大野党の共和人民党(CHP)が714票だった。トルコの選挙権は18歳以上だ。

(写真2)日本での2023年のトルコ国会議員選挙の政党別得票数と割合

この結果はトルコ国内で奇妙だと話題になった。YSPは実質はクルド人政党だ。トルコ国内では得票は8%程度だが、日本では30%を占めた。日本のクルド人の数の多さが反映したと、トルコ国内で見られている。

トルコは建国の父アタチュルクの方針でイスラム教を公的部門から排除する「世俗主義」を今も掲げる。また国の一体化を破壊する、民族を強調する政治運動を国が弾圧する。イスラムから切り離された「トルコ共和国」の下で、トルコ民族を含めた各民族が活動をすることをこの国は求めている。イスラムの復権を狙うエルドアン政権で、国の姿は大きく変容しつつあるが、民族主義を嫌う国の姿は建前では変わっていない。そのためYSPも「クルド民族政党」とは名乗っていない。ただし、与党AKPとエルドアン政権は、クルド民族主義者の取り締まりにもするが、民族の格差是正と教育振興には熱心で、クルド人の支持者も多い。

YSPは一院制のトルコ議会の1割61議席を獲得した。このことはクルド人の政治活動が自由であることを示し、在日クルド人の「トルコに迫害されるために難民申請をした」という主張が、怪しいことがわかるだろう。在日クルド人の中にはYSPの選挙運動をしている人がいた。私がその選挙をする「難民」の写真を公開すると、日本で大騒ぎになった。(写真3)

(写真3)政治活動の自由を謳歌する、クルド人の「政治難民」? なんだそれは

そこでこの得票数から在日クルド人の数を考えてみよう。YSPの得票数を得票率にかけて2倍。最低でも1800人のクルド人が日本にいると見込まれる。在日クルド人は、出稼ぎの若い男が多いが、夫婦は多産で3人以上の子供が多い。半数より少ない600世帯が夫婦として、平均で1人以上の子供(18歳以下)が約600人いると推定する。

また今年2月のトルコ大地震で、在日クルド人の出身地の南東部が被害にあった。1000人ほどが親類の「難民」を頼って、なぜか日本にやってきた。日本政府は一時的な滞在を許している。今年8月でその滞在ビザは切れる。別にその数を上乗せする。もしかすると避難民の中に選挙人登録を日本でいた人がいるかもしれないが、今回は考えない。すると合計は3400人だ。少なく見積もったが、これは公称2000人よりは多い。政治意識の低い人もいるだろうから、選挙人名簿に登録していないクルド人の成人はいるだろう。

難民申請者に5000人説

もう一つの推定は、トルコ人、クルド人双方からの情報だ。上記の選挙人名簿が、今年初頭、トルコ大使館から、理由不明だが、漏れてしまったらしい。クルド人がハッキングしたとの噂がある。

トルコの場合には民族間の混血がオスマントルコ時代から進み、人種のアイデンティティの分類は、言語とその人の家族と自己認識次第だという。クルド人は公的には迫害をされてはいない。しかし南東部クルド人とそこから構成される在日クルド人は、異様に血のつながりを重視し、クルド人を強調し、トルコ政府とトルコ人を敵視する。また在日トルコ人と私は情報を交換している。その人たちの中には、埼玉で迷惑をしているクルド人を、人種差別意識ではなく、「トルコの名誉を汚す」と憎んでいる人がいる。

その名簿を入手したトルコ人、クルド人双方から、在日クルド人の推定数を聞いた。トルコ人によると「名前から推測すると名簿の3500人はクルド人だ」という。また「クルド人の男は妻子や親を日本に呼び寄せ、難民申請する。その金は解体業のボスが出している。その結果、5000人ぐらいクルド人が日本で難民申請をしていると聞いている」という。トルコ人とクルド人は、名前でわかると、この人はいう。(近年は名前ではわからないという人もいる。)

トルコと日本のビザなし規定で、トルコ国籍の人が日本に入国するのは容易だ。その入国後に、クルド人は「難民」と自分を申請し、その審査のためとして、日本に居着いてきた。本国で教育がないために高い報酬が得られない多くのクルド人にとって、日本での生活や収入は魅力的でなかなか帰らない。日本政府はトルコ国籍の難民申請者数を公開していないので申請5000人説が正しいのかはわからない。

一方で、在日クルド人によると、「クルド人は1500人だ」という。どちらが正しいかわからないが、日本人である私との会話でこの問題では、トルコ人は多め、クルド人は少なめに出そうとするだろう。

また確認できない情報がある。在日クルド人の大半はマヒカン族という人々とされる。しかし数年のトルコのハイパーインフレと経済低迷を背景に、経済的に困窮したトルコ人が「クルド人」と称して、出稼ぎに来ているらしい。マヒカン族のクルド人は、その新参者のトルコ人が悪いことをしていると強調するが、私はそれは怪しいと思う。マヒカン族の中から問題行為が出ている。しかし、彼らが把握できない人種不明のトルコ国籍の人が増え、埼玉のクルド人コミュニティの周囲で動いているようだ。

情報公開、不法滞在者の帰国をなぜしないのか

これらの2つの情報と推計から、以下の2つのことが言える。

まず第一に、公称2000人よりは、はるかに多いトルコ国籍のクルド人が日本に居住し、その大半が埼玉県南部、特に川口市に集住しているらしい。4000人以上、もしかしたら5000人は居そうな気配だ。また彼らと似た行動をして、問題を起こしているクルド人以外のトルコ国籍者がいるようだ。

第二に、クルド人はこの1年、コロナの入国規制が緩和された後で、数が急増したらしい。仮に数年で在日クルド人がこれまでの公称2000人から4000人に増えたとすれば、伸び率としては2倍と異常な状況だ。この増加は今後も続く可能性がある。前述のように、入国の入り口が、トルコ国籍のクルド人には自由であるためだ。

そもそも、私がこんな数の推計をする必要はない。日本政府が、トルコ国籍のクルド人をめぐる情報を公表すればいいのだ。しかし、それをしない。

在日クルド人の多く住む川口市に住民登録しているトルコ国籍者は約1300人という。しかし難民と自称しているクルド人は、住民登録をしない例が多い。地方税と住民税の課税逃れのため、そして不法滞在状態になったら逃亡することを考えているためらしい。

また入管は居住する市に、難民申請者や仮放免者(送還前に施設外に住む立場の人)の情報を、その当事者が希望しなければ、伝えなくて良い仕組みになっている。理由は「人権保護のため」らしい。このために、在日クルド人の多く住む川口市でさえ、彼らの居住の実数を把握していない。

また埼玉県警は、トルコ国籍のクルド人の犯罪の認知、逮捕、起訴の件数を公表していない。これは全国の外国人犯罪で同じ対応で、「人権保護のため」らしい。

外国人の迷惑行為と向き合う埼玉県民は、その原因である、外国人、クルド人の正確な情報さえ分からない。これは異常だ。入管と警察は情報公開の方法を見直してほしい。情報が行政機関の間で共有され、国民に提供されなければ、対策さえ立てられない。

流入外国人問題は続く、暗い気持ちに

推定4000人前後と比較的少ない外国人集団なのにクルド人は問題を住民と起こしている。そして急増の気配がある。これ以上問題を深刻にしないために、クルド人の違法行為の摘発だけではなく、入国を止め、不法滞在者の帰国を促すべきである。

そして推定4000人でも、日本に馴染まない集団がいると地域社会を混乱させることが、在日クルド人問題で示された。日本政府は、移民の受け入れを拡大する方針だ。クルド人問題を解決したとしても、別の異質な民族集団とのトラブルが、また必ず発生するだろう。

日本に到来した移民社会の姿に、暗澹たる気持ちになる。

(写真4)夜中に集まる中東系外国人の群れ、この数が問題なのだ。埼玉県川口市、読者からの提供。

石井孝明
経済記者 with ENERGY運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

8 件のコメント

  1. 韓国は 夜郎自大の 超大国 より:

    この記事は良質なレポートと認められます 敵対的な人々は「意図的に反外国人感情を煽るもの」などと貶めようとするでしょうが 誰も声を上げない問題の重要な点に関し 多角的に検証し実態を把握しようとしている姿勢に誇張も省略もないし 平成バブルの不法残留者激増期に政府はその数を「10万人」と言い続けていたが 民間の研究と指摘で実数30万人を認めた例もあります

    入管法の再改正および トルコとは伝統的に友好関係にあるため難しいでしょうが 過去バングラデシュ・パキスタン・イランに対し行って不法残留者を劇的に減らしたように ビザなし渡航可を協議の上一時停止とすべきです

  2. しっぴん より:

    73歳の杉並に住むジジイです。あなたの政治活動は立派です。遠くから応援してます。

    • 石井孝明 石井孝明 より:

      ありがとうございます。私は、一回の記者で、政治家ではないです。自分の今ここで、できることをやります。

  3. こめ より:

    川口は本当にクルド人と思われる人間がそこかしこにいます。いつも複数でつるんで行動したりたむろしたりしています。平日の昼間から。そしてスマホで大音量の謎音楽を流しています。
    ほぼ男性で女性はほとんど見かけません。(自分が気づいていないだけかも知れませんが。)
    普通に怖いし迷惑しています。こんな人たちのために血税を浪費されているのかと思うと心底腹立たしいですね…
    本当に移民の受け入れなんて今すぐ辞めるべきですし、早くお帰り頂いて二度と来ないでもらいたいですね。

  4. 永遠にエモいわ より:

    アベプラ 7月7日放送 クルド人当事者に聞く”川口100人トラブル”の現場と難民申請とどう向き合う?
    43:38~「僕ら川口にわずか3000人、今増えて4000近くになってるんですけど…」と言ってました。

  5. 米島弁 より:

    内藤さんの著書、私も幾つか読みました。今も勉強させて頂いております。在日クルドの問題がなければ、トルコを題材にした書物など手に取っただろうかと思う今日この頃。私が通った大学にはトルコの専門家はいませんでしたし、身の回りにトルコに詳しい人もいない感じです。とか言いつつ、何が勉強になったのか、具体的な内容には触れないw 新書版を中心に分厚くない著書も多いので、気になる方は読んでみると宜しいかと(^_-)ー☆

  6. 米島弁 より:

    連投スミマセン。本文で指摘された入管・自治体間の仮放免者に関する情報共有の件で、2時間ほど前に産経新聞の記事がアップされました。記事によると、川口市からの要請に基づき、市内に住む仮放免者の情報が入管から提供されたそうです。川口の仮放免者は700人程度で、大半は「トルコ国籍」だそうです。詳細は産経新聞のネット記事をご覧下さい。

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