「偽装難民」問題の解決を入管法改正で行うべし

石井孝明
ジャーナリスト

外国人の収容・送還のルールを改める出入国管理法改正案が国会で審議されている。本当に政治的に迫害されているか分からない「偽装難民」が日本に多数いて、その一部は日本人とトラブルを起こし、関係ない家族もたいてい違法に呼び寄せ、数を増やしている。この改正で、そうした人々を早期に帰国させられるようになる。少しは問題の歯止めになるが、外国人労働者の流入が止まるかどうかは難しそうだ。

世界難民デー(7月20日)のイメージ。ところが日本人は、「困った難民を助けよう」との認識に引きづられていないか。中には悪い人もいる。(iStock)

本当に迫害されるか分からない難民たち

「難民」とは、難民条約の1条によれば、「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するという理由で、自国にいると迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れ、国際的保護を必要とする人々」と定義されている。

こうした人々を保護することは当然だ。ところが、実際には日本に来る多くの難民を申請する外国人の中には、この定義に当てはまらない人もかなりいる。入管法の改正案はこうした人々の制度の濫用を防ぐものだ。

制度改正のポイントはいくつかあるが、この「偽装難民」、つまり難民と自称して日本での就労を目的に働く人々の問題に絞って、この記事で論じてみよう。

現在の入管法では、退去すべきことが確定した外国人については、原則として退去まで収容施設に収容することになっている。ところが実際にはそうした難民認定申請を濫用するために、退去させられない。

日本政府から難民と認定されなくても、何度も申請を繰り返して居残る人たちがいる。また外国人の犯罪者が突如難民申請をして、日本に居残る場合もある。収容の長期化を防止するために、「仮放免」として外で生活することが認められる場合もある。しかし仮放免中に逃亡する事件が起きている。2021年12月時点で送還拒否者は3200人以上、このうち3分の1以上が日本国内で訴追されたものだ。

難民による就労、犯罪が発生

週刊新潮が伝えたが、立憲民主党の石川大我議員などが支援した東京出入国在留管理局から仮放免を許可された40代のスリランカ人男性が、過去に「強制わいせつ致傷罪」と「強姦致傷罪」で2度、有罪判決を受けていた。刑法犯である外国人が難民と申請することで自由に外に出られる。

また埼玉県南部では、そうした仮放免の立場の中東系の外国人たちが、日本で就労していた。外国人が日本で働く場合にはさまざまな規制がある。それなのに、日本で働くための手段として難民と自称している疑いがある。

私の一連のTwitterと、このサイトでの、この偽装難民と埼玉県での住民とのトラブルの報道は反響を呼び、Twitterの投稿の閲覧は合計で軽く1000万件、映像は200万件、ウィズエナジーの閲覧は50万件以上を記録した。多くの人が懸念を共有しているのだろう。(記事「日本人の善意を利用して騙す、自称「難民」たち」など)

(写真2)夜中に集まる中東系外国人の群れ、埼玉県川口市、読者からの提供。住民は怖がっている

この問題への対応は、法律の隙間をなくし、早めに難民かどうかを認定し、送り返すことをするしかない。入管法の改正案では、犯罪を起こすと難民申請ができなくなり、また審査の回数が原則制限される。現在の案では2回認められなければ、新たな証拠を示せないと再認定は難しくなる。これは、違法な立場で日本に居続ける外国人を無くすことにつながる。

政府・与党は、維新、国民民主党と協議し、収容をめぐる手続きに第三者のチェックを入れること、審査の厳格化などの修正を検討することで合意した。立憲民主党、共産党などは、この改正を拒否し、もっと入国審査を緩くする対案を出している。日本を難民だらけにしたいのだろうか。その行動は、理解に苦しむ。

日本に広がる不安、しかし伝えられない

難民問題は、この法改正で一時的に止められるにしても、日本政府と経団連と、野党、メディアは外国人の労働力受け入れに積極的だ。

ところが日本の世論は、これをおかしいと思っているようだ。朝日新聞が国際面Globeというコーナーで5月7日に、「川口」という特集を掲載した。埼玉県南部の川口市で、外国人と日本人が仲良く幸せという内容だった。ネットでは埼玉県民が「外国人とのトラブルを全く伝えていない」と怒って炎上した。同時期に、この地域を伝えた、私の上記の報道への反響と対照的だ。私は個人で朝日に勝ったが虚しい。なんで世論は、移民・難民の問題点を認識しているのに、メディアも、政治家も、社会も、懸念をしないのか。

(写真3)炎上した朝日新聞の川口特集(同社メルマガより)

今、西欧諸国は押し寄せる難民(おそらく大半が、今の日本のように「自称」)や移民によって、これまでの社会が崩壊しようとしている。1970年代から80年代に、この受け入れを懸念する声は、「差別だ」の声にかき消された。(西洋の自死」(東洋経済、2017年))。日本でも全く同じことが起きている。

国の形が変わっていいのか

そのささやかな修正が、今回の入管法だ。これをきっかけに、私たちは外国人との向き合い方を考え直すべき時に来ている。

神々はまず滅ぼそうとする相手の気を触れさせる。我々は気が触れているに違いない。文字通りにだ。年間 5万人もの人間(注・外国人労働者のこと)の流入を、国家として許すとは。彼らの大多数は将来、移民の血を引く人口の増加に貢献するだろう。この国はまるで自分自身を火葬する薪をあくせくと積み上げているかのようだ

私は同じことを考えているが、私の発言ではない。1968年に英国保守党のイーノック・パウエルという政治家が行った演説の要約だ。上記の「西洋の自死」から引用した。彼は差別主義者と批判され、当時の保守党のヒース首相から閣僚を解任され、政治的なキャリアが終わった。

しかし、その予言通り、英国は移民によって、かつての英国ではなくなっている。ロンドンの大半の地区では、白人英国人は、今や少数派だ。スナク首相をはじめ英国の移民の子孫が重要な地位についている。

日本でも同じことが起きるかもしれない。私は違和感を感じる。「外国人を追い出せ」「差別しろ」という主張をしているのではない。しかし西欧の先例があるのに、国民的議論のないまま、外国人や外国人労働者を、移民や自称難民の形で受け入れ、国を開こうとする日本の今の状況をおかしいと思う。国の姿がおそらく変わってしまう。

国の姿を変えるのかを認めるかどうか問われたら、大半の日本人は「いやだ」というはずだ。しかし、奇妙なことに、政府やメディアによる大規模な世論調査、分析はない。そして、それを正面に見据えた議論もない。なし崩し的に、大半の人が意思決定に関与しないまま、日本の形が変わろうとしている。確信犯として外国人を入れて社会を変えようという変な人たちは、この状況を喜んでいるだろう。

恐ろしいことだ

石井孝明

経済記者 with ENERGY運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

1 件のコメント

  1. えみ より:

    日本の存続の危機にも関わらず、メディア始め、政府でほとんど取り上げられる事がない事に違和感と危機感を感じずにいられない。
    日本を壊したい、謎の勢力力が働いているとしか思えない。

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