トルコ、在日クルド人団体をテロ組織と認定-知らずに危険が日本に広がる

石井孝明
ジャーナリスト
(写真1)クルド人が日本で行った祭り「ネウロズ」。クルド人も日本人も笑って踊っている。しかしテロ集団の旗が掲げられ、流れている曲は人殺しの歌だ。それを知ると、不気味な写真になる(クルド人による公開映像より。23年3月さいたま市立秋ヶ瀬公園

トルコ政府は11月29日、テロ組織PKK(クルド労働者党)の関係者として、国外在住の同国民62名、団体20の資産凍結を行ったと発表した。「日本クルド文化協会」「クルディスタンレッドムーン」という埼玉県川口市にある2団体、そして在日クルド人6名が含まれているという。(トルコ政府の公表文と発表リスト

PKKは活動中の凶暴なテロ組織で、10月にトルコの首都アンカラで殺人とテロを行った。その団体が日本で活動している。この決定をトルコのメディア、そして米英の通信社が伝えたのに、日本では全く報道されていない。

私はこれまでテロを警戒して日本におけるPKK問題を大きく取り上げなかった。今回のトルコ政府の動きに合わせて、集めた情報をここで述べてみる。

トルコ大地震の募金の不透明さ

「クルディスタンレッドムーン」というのは、イスラム圏の「赤新月社」を模倣した慈善団体を装った日本クルド文化協会(以下、同協会)の関連団体のようだ。在日クルド6人のうち、5人は名前を特定したが、人権上の配慮で私は公開を自粛する。

翻訳や報道を見ると、トルコ政府は資金凍結理由を「PKKと関係を持った」としか公表していない。しかし同協会をめぐる金銭の流れの不透明さを、私は在日クルド人から聞いていた。ここは今年初頭に巨額の資金のやり取りをトルコとの間で行なっている。

23年2月にトルコ南東部で大地震が起き、死者は約5万人となった。在日クルド人の7割以上はこの地域トルコ南東部の出身で、この団体は支援を募った。

在日クルド人によると、この寄付の詳細が明らかにされていないという。領収書は発行されず、使い道をトルコ人、またクルド人が問い合わせても教えてくれないそうだ。被災地に、同協会から支援物資やお金が届き、FacebookやTikTokで、感謝が示されている。しかし全額が使われたかは、分からない。

ある在日トルコ人によると、今回資産凍結をされ同協会の幹部の肩書きを持つ在日クルド人の一人は、この募金で日本人から1500万円、在日クルド人から3000万円、合計4500万円を集めたと、SNSに書いていたという。しかし、別の幹部は合計4000万円を集めたと、矛盾したことを書いていた。2人は同じ団体の関係者なのに、500万円の差があるのはおかしい。その金はどこにいったのか。

私の推測だが、おそらくこの多額の金銭のやりとりを、トルコ当局は問題にしたのではないか。

クルド人団体の正体-PKKの活動を賛美

日本クルド文化協会は2009年に設立された。在日クルド人を代表する団体ではない。しかし在日クルド人の大半は、トルコ政府に迫害されたと嘘をついて難民申請をして日本に不法滞在している。そのためにトルコ大使館の庇護・領事活動を受けられない。この団体が在日クルド人と日本の行政やメディアとのやりとりの窓口になっている。しかし私の見たかぎり、同協会にPKKの影は以前からあった。

あるクルド人は「この協会はPKKに関わっている人がいるようで困る。在日クルド人の大半はYSP(緑の左派党、トルコでは民族政党は禁止されているが実質クルド人政党)の支持者だ。しかし私たちはPKKに全く関係ないし、彼らはテロ組織で恐ろしい。他に私たちを代表する団体がないので、この協会を仕方なく支援している」と話していた。

この団体は日本でPKKやクルド人の権利を主張する活動をしてきた。しかし在日クルド人は日本で、不法行為や埼玉県民への迷惑行為を繰り返してきた。同協会はこれまでそうした問題行為の是正をしてこなかった。そして、これを報道した私を敵視し、訪れる既存メディアなどの記者に幹部が「石井はトルコのスパイだ」と中傷しているという。ここは日本人との友好や共生を目指すのではなく、排他的で危険な団体であると私は思う。

写真2は同協会の示したトルコ大地震の際の記者会見の写真だが、奥にはPKK創立者で現在、トルコで服役中のテロリスト・オジャランの写真が掲げられている。日本の記者たちは、その異常性に気づいていない。無知で無能だ。また以下の写真3は在日クルド人の提供によるものだ。同じ部屋にPKK(写真左)、関連団体のYPG(クルド人民防衛隊、シリアでのPKKの武装部門)のマークの置物が置いてある。日本人協力者が写っている。

(写真2)
(写真3)

(12月12日追記)日本クルド文化協会の招待のコンサートで2017年にクルド人の歌手フェルハト・トゥンチが埼玉でコンサートを行った。ザザ人とはクルド人の言語グループ。ところがこの歌手は、トルコで2019年に、テロ組織PKKの関係組織の代議員、「運び屋」として起訴された。この歌手はドイツに逃亡し、今トルコ政府はドイツ政府に身柄引き渡しを交渉して外交問題になっているという。


在日クルド人は、ここ数年、解体業で経営者層は金持ちになった。そして日本は国としてテロ組織を指定して取り締まる制度がなく、法律も欧米に比べて未整備だ。日本にはかなりの数の「平和ボケ」がいる。日本の警察は外国人に甘い。PKKは麻薬などの犯罪に関係するとして、EUでは取り締まりが強化されている。仮に私がPKKの幹部なら、こうした好条件の揃う日本で拠点を拡充し、日本人を騙し、テロ活動の資金を調達しようとするだろう。

クルド人はネウロズという新年の祭りを春に行う。日本でも同協会が主催する。祭りをすることは自由だが、同協会は日本でPKKの旗やテロリストの旗を掲げてきた。私がかつて討論番組でその事実を聞いたところ、同協会の関係者で今回資産凍結措置を受けたクルド人は「(旗は)ただのシンボルだ。問題はない。PKKとは関係ない」との主張で逃げた。それは嘘だったわけだ。

そしてこの祭での問題行為を聞いた。23年の祭りの映像が流れていた(写真1)。ここでは「Oramar」という歌がうたわれ、クルド人が楽しそうに踊っている。この歌はPKKのもので、2012年のトルコ東部ハッカリ県の戦闘で、12人のトルコ兵がPKKに殺害されたことを讃える内容だ。テロ・殺人を肯定する歌を日本で楽しそうに歌い、それを無知な日本人に踊らせている。在日クルド人は、受け入れ国の日本を全く尊重せず、自分たちの殺人や紛争を持ち込もうとしているのだ。不気味な人たちだ。(これを批判的に解説した、クルド・トルコのハーフで在日クルド人の行動を批判している青年のツイート)トルコ政府に監視されPKK色が強いために、ネロウズに参加しないクルド人もかなりいるという。

在日クルド人の大半は出稼ぎで、金儲け目的で日本に来る。そのために政治的な争い、日本とトルコ政府に監視されることを嫌がる人も多い。ただし外国に行って民族愛に目覚める「遠隔地ナショナリズム」にとらわれるクルド人も少数ながらいるようだ。PKKシンパもいるらしい。そもそも1990年代に日本に流れてきた最初のクルド人グループの中に、当時組織が壊滅して、海外に拠点を作ろうとしたPKK構成員がいたとの噂も在日クルド人の中にある。

政治家やメディアに影響を与える工作を実施

そして日本クルド文化協会は日本にクルド人の影響を広げようとしている。これがどこまでPKKが関わっているのか、私も取材しきれていない。

政治工作ではクルド人に協力する政治家が多いことに、これまで私は懸念を述べてきた。和田政宗参議院議員は、この団体の幹部で、資産凍結をされた在日クルド人と面会写真を残している。このクルド人の投稿を翻訳すると、和田議員がトルコの政策を批判し、難民認定に貢献したと感謝している。

(写真4)今回、テロ団体PKKと関係するとして資産凍結措置を受けた日本クルド文化協会幹部と撮影する和田政宗自民党参議院議員。このクルド人が掲載した。和田氏がトルコ共和国(TR)批判に同調し、難民認定に協力したことを感謝している。

同協会は、日本の行政とクルド人との窓口にもなっていた。11月に同協会は埼玉県警、川口市、東京入国管理局と川口市内を合同パトロールをした。在日トルコ人が「テロと関係する疑いのある団体と警察が一緒にパトロールをするのはおかしい」と懸念していた。その懸念通りになった。(記事「埼玉県警、クルド人による女性拉致や危険運転を見逃した?-それでも応援」)

同協会は、日本のメディアがクルド人を取材する際の紹介窓口になっていた。協会の名前、また資産凍結措置を受けたトルコ人の名前を検索すると、頻繁にメディアに登場していることは読者も確認できるだろう。「善良な」「迫害された」「気の毒な」クルド人を、日本のメディアは報じている。工作に踊らされていたのだ。

ちなみに杉並区で見学した日本人住民に「神があなたを殺す」などの暴言を述べる難民参加者がいるなど、トラブルを起こし続ける「難民・移民フェス」の主催者の女性ライターは、テロ関係者として資産凍結されたクルド人を称える記事を月刊誌フォーブスに掲載していた。(Xの説明ポスト)朝日新聞も今回資産凍結されたクルド人を同情した記事を掲載していた。(説明ポスト

また日本のイスラム学会は、今回テロ指定された人と協力しており、日本国民の税金である科研費がテロ組織と関係ある人や組織に流れている可能性がある。

トルコ政府の処分が公表された後で、同協会は何もコメントを出していない。資産凍結された東京外語大学講師の肩書きを持つ同協会幹部のクルド人は、ドイツにあるクルド系メディアで「何も影響はない」と強がっている。(記事)日本人が何もできないと、馬鹿にしているのかもしれない。

テロ組織を潰せ-これは「人種差別問題」ではない

トルコでの報道によると、エルドアン大統領は、12月1日にCOP28に出席した岸田文雄首相との会談で、PKK問題への日本の注意を求めた。公安調査庁が11月末にホームページ上のテロ組織の解説でPKKの記述を削除したこととも影響したのだろう。トルコ国内では、私の提供した情報をメディアが取り上げ、日本でのPKKの活動に関心と懸念が広がっている。

冷静に考えると、この状況は大変恐ろしい。一部クルド人は、日本人の善意を利用して、テロ活動を行おうと考えているようだ。そして日本の警察、行政、メディアは自らの行動によって、日本人がテロの被害や間接的な加害者になり、国際紛争の原因を作り、日本とトルコの両国民がテロで安全を損なうことを、気にしていないようだ。この行為の結果の被害を受けるのは、一般の日本人、特に埼玉南部の人々である。またトルコとの友好関係を破壊しかねないだろう。

トルコ大地震で、1500万円も同協会が日本人から集めたとすれば、テロリストの嘘に日本のメディアが加担したことになる。日本人の善意の寄付が、トルコで殺人・テロに使われている可能性がある。

最後に以下の点を強調したい。

1・危険なクルド人のテロ組織PKKが日本で活動している。

2・日本人のメディア、政治勢力、政治家、政府、警察、行政は、意図的にか、無知のためかはわからないが、その関係組織に協力している。

3・この状況は、日本でテロ組織が育ち、トルコ、日本で人々の安全を脅かしかねない。クルド人の日本での不法・迷惑行為に加え、テロのリスクも育ちつつある。テロ組織を潰せ。

この異様な動きを止める必要がある。トルコ当局と協力し、テロ関係者がいたら強制送還をし、もしテロ活動を支援する組織があったら、関係組織の解体を日本政府の手で行わなければならない。長期的には、テロに甘い日本の法律も見直しをするべきであろう。そして一般の日本国民は、その団体と関係を持ってはならない。取り締まりは人種差別行為でもないし、右と左の政治立場も関係ない。日本と世界の安全と治安の問題だ。このままでは、日本国民がテロに巻き込まれ、犯罪に意識せずに加担してしまう。

(注)この報道は著作権が明確でない写真を使った。しかし日本の著作権法41条の例外規定、「報道のための利用」に該当すると私は認識している。その場合の利用は認められる。

石井孝明
経済記者 with ENERGY運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

3 件のコメント

  1. ナナシ より:

    長年トルコと日本は友好関係だったのにどうしてテロ組織幇助なんて凶行をするのか全く理解出来ない。裏表なく善行をなした先人たちを踏み躙る最低の行いでしょ

  2. いわちゃん より:

    3月21日はクルド人の春のまつり。ネウロズ。
    日本と友好国である独立国家トルコが指摘するテロ組織にお金が回ることは、テロ幇助となることを日本人は本気で理解しなければならない。
    日本人はイラン・イラク戦争で航空機を派遣してくれたトルコに恩義があるんです。
    ・法務省>公安調査庁ではテロ組織リストが消えてる
    ・和田氏がクルド人(PKK関係者)擁護の準難民にすると息巻いてる
    ・和田氏がクルド人問題を党の顧問弁護士に一任している旨
    こう考えると、自民党がクルド人を難民化して受け入れたい利権関係が存在すると考えるほうが自然かなと思います。

  3. 米島弁 より:

    人種や民族を問わず、テロ組織との関係の如何によっては、共生は勿論、入国自体に待ったが掛かるような問題です。そもそも、外国人との共生を進める取り組みは、テロ関係者や支援者との共生ではない筈。通常、テロ関係者・支持者は、その存在自体が分からないものですが、もしも特定の何者かがそうした関係者・支援者だと分かっているなら、彼らを利するような行動・言動は、可能な限り避けたい…、少なくとも私は、そう思います。

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