埼玉県川口市でクルド人による清掃ボランティア活動始まる―トラブル改善の期待

石井孝明
ジャーナリスト

公園を女性たちが清掃

埼玉県川口市で、地域に住むクルド人が街の清掃活動を6月に入って行っている。地域社会への貢献のためだ。川口市西部では、集住するクルド人と現地住民の間で、ゴミ捨てなどによるトラブルが起きていた。自発的に事態改善に動き出すクルド人が出たことは大変喜ばしい。

クルド人の女性や子供たちが川口市弥平、領家、上青木などの公園を掃除している。クルド人の会社経営者やクルド文化協会のSNSが伝えた。いつの時代も、どの場所でも、平和への動きは女性が先導する。

この経営者に、私が感謝の言葉をフェイスブックで伝えると「ありがとうございます」と返事が返ってきた。この人の関係者が中心のようだ。機会があれば取材をしたい。この人の日本社会に貢献したいという気持ちは本心であろう。(この人のことを書いた令和電子瓦版記事「川口市在住クルド人に聞く」)ただし私は川口市のクルド人問題を報道したところ、この人にフェイスブックで「犬」「嘘だ」と罵られた。そのために聞きに行くのは少し警戒している。(写真1)

(写真1)クルド文化協会のツイッター

掃除を通じ日本社会とつながることを期待

この活動は「小さなこと」だ。しかし川口市のクルド人問題をこの1ヶ月追った私には、好ましい変化につながる期待を抱いた。

埼玉県の川口市西部と蕨市に約2000人、おそらくもっと多いクルド人が集住している。その人々の一部の生活態度が悪く、触法行為をし、住民が迷惑をしていた。これまで、そうしたクルド人側からの、日本社会への貢献が、なかなかなかった。小さな変化だ。

クルド人問題に取り組み続けてきた奥富精一川口市会議員は、「この動きを歓迎します。クルド人側からの取り組みが本格的になれば、川口の町内会や市民自治の活動にクルド人をつなげていきたいです」と話した。(写真2)

清掃活動は、社会に様々な影響を与える。写真はイメージ(iStock)

クルド人の真実の姿を伝えない、日本の支援者たち

埼玉県南部での一部クルド人の迷惑行為は、これまでメディア、政治家、公的機関は全く伝えなかった。しかし前出の奥富氏、そして川口市民がSNSで広げた。私も5月初めから伝え、反響は大変大きかった。(「外国人トラブル、埼玉県川口市の現状(上)暴走運転による住民の危険」など)

ちょうど今、国会では難民認定を厳しくする改正入管法が制定のために審議されている。不思議なことに弁護士、人権活動家、既存メディア、立憲民主党、社民党、共産党などのおかしな政治家という支援者は揃って「クルド人を助けろ」と喚く。一方で、埼玉県南部での迷惑行為と日本人の困惑を全く伝えない。「クルド人はかわいそうで日本政府が入管法改正で苦しめている」という、一面的で偏向した情報を流す。彼らが喚くほど、真実の情報が逆に注目された。

そして、これらのおかしな人々は、今回のクルド人による善行というプラスの情報を伝えない。とても不思議だ。

理由を推察するに、彼らの作った「クルド人は被害者」という妄想の物語に合わないためだろう。また現実のクルド人の話を聞かず、観察せず、取材や情報収集に手を抜いているためだ。また自分の考えに固執し、クルド人の幸せを考えていないためだ。彼らは問題を解決させるのではなく、永続させ、政府を攻撃し続ける方が、色々と利益が出る。

日本人にとっても、埼玉のクルド人にとっても存在が、本当に迷惑な人たちだ。黙っていてほしい。

クルド人の居住が触法の疑い

しかし、一部の善行によっても、問題の解決は遠い。

埼玉県南部の現地の人の話やSNSの情報によると、5月以降にクルド人の行動に外から見る限りにおいては、微かな変化があるようだ。夜の騒ぎ、ナンパ行為は減ったという住民の声がある。しかし騒音も、迷惑行為も、危険運転も、減っていないという声も一方にある。

そして日本におけるクルド人をめぐっては、以下の問題がある。これは一部の善行があっても解決しない。

第一に、クルド人の法的立場の問題がある。

日本にいるクルド人の多くは「偽装難民」である可能性が大きい。これまでの報道で説明した。トルコから観光ビザで来日をする。それが切れると、トルコ政府にクルド人であることを理由に迫害を受けると日本で難民申請をする。それで申請中という立場で日本で働き続ける例が多い。トルコ政府は今、クルド人テロ組織との鎮圧を強化している。クルド人の生活が脅かされていることは確かだが、政府は民族として迫害を行なっていない。

クルド人を守れと騒ぐおかしな人たちは、この根本にある「日本にいるクルド人は嘘をついた不法滞在者である可能性が高い」と言う事実を曖昧にしている。

第二に、クルド人の間に善行がどの程度広がるか不明だ。

トルコ人、クルド人、日本人関係者に取材した。取材相手はぼかす。日本にクルド人コミュニティができてからわずか15年ほどで複雑な生態系ができている。人の行動で常に起こることだが興味深い。

「山の他に友はなし」という言葉が山岳遊牧民のクルド人の社会にあるという。日本にいるクルド人は一枚岩ではない。彼らは南東部のトルコの町、ガジアンテップ近郊の一地方の出身者が大半だ。近親者の作った解体会社で男が働き、親族、家族を呼び寄せる。ただ、最近トルコ人がクルド人のふりをして日本に移住しているという指摘もある。

彼らは独立志向があり、一人で動きたがる。クルド人解体、産廃業者は、個人事業者レベルまで含めると日本で推定150もある。それらの会社同士は競争している。また同族は固まるが、グループごとに仲が悪い。よくクルド人同士の喧嘩が報告されるのは、そのためだ。また家父長的な家庭が多く、女性は抑圧される傾向があるとされる。

クルド人の犯罪集団は日本にまだないようだが、半グレ集団は登場し始めている。またトルコ政府が鎮圧に必死になっているテロ組織PKK、YPGの関係者が潜り込んでいるようだ。こうした怪しい人たちは日本で利益を得たい解体業者のグループから警戒され、嫌われている。

つまり、クルド人の一部に日本人と共生したいという動きがあっても、こうした小さい集団に分かれ対立している以上、広がるかは分からない。(写真3)

(写真3)夜中に集まる中東系外国人の群れ、埼玉県川口市、読者からの提供。

クルド人を利用する悪い日本人

第三に日本人の問題がある。クルド人のこの不幸な状況を放置させたがる人がいるようだ

日本人の支援者の一部は行儀の悪いクルド人の行動を、煽り、助長させている。2019年の渋谷署に対する極左と一部クルド人のデモや、入管への敵対行為はその典型だ。彼らは問題の解決ではなく、その拡大と、争いの永続化による自分の利益を考えている。

日本の建設関係者に聞くと、クルド人の解体業者は引き受け料金が安いため北関東でかなり存在感を増している。日本人は解体業をきついと敬遠し、成り手がいなくて解体業の発注価格が高騰していた。そこでクルド人業者が使われるようになった。ただし、その安さは、これまで説明したように彼らの法的立場が曖昧でそれにつけ込まれて人権費が抑えられ、無保険であるなど諸経費をかけていないためだ。これはクルド人労働者の人権を侵害し、非常に問題だ。

さらにクルド人の弱い立場を利用して、解体業者を騙す日本の会社、ビザを与えると騙す政治団体もいたようだ。日本人もクルド人をずるい形で利用している面がある。

こうしたおかしな日本人たちが、日本人とクルド人の共生を、妨害する可能性がある。

また日本人の間に、懸念すべき動きがある。迷惑行為の一部クルド人の情報が広がったことで、副作用が起こった。触法クルド人に対する怒りが広がり、それが行き過ぎてSNSなどでは、「出ていけ」など攻撃的で、人種差別的な言葉が散見される。

また埼玉県南部では、面白半分で取材するユーチューバー、さらには人種差別を標榜する政治活動家がうろうろしはじめた。こうした情報がクルド人への人種差別行動、さらには日本人とクルド人の衝突を生んでは困る。民族を材料にした憎しみという負の感情は、広がると日本社会を腐らせる。また暴力沙汰は、普通のクルド人、川口市民を困らせ地域内で対立を産む。これは絶対に止めなければならない。

法適用は粛々と、善良な外国人とは共生を

こうした問題があるが、クルド人側から、自発的に状況を改善しようとする動きは好ましい。

私は埼玉県南部で、警察力を行使して、違法外国人を摘発すべきと考える。そして改正される予定の入管法に合わせて、一回、違法滞在状態のクルド人に帰国を促すべきとも思う。行儀の悪いクルド人を排除し、住みたい場合には「合法移民」もしくは「合法一時滞在」の形で再入国してもらうべきだ。また入国は数を限定するべきだ。(これまでの主張「埼玉南部、外国人犯罪を取り締まり日本人を守れ」)これは言うことは簡単だが、実現は大変だろう。当然抵抗もある。

ただし、このまま埼玉南部の迷惑行為が続いても、外国人の違法状態の集住が続くのも問題だ。速やかに法的に状況を整理してほしい。

クルド人の側も日本にいたいならば、自らの行動を是正する必要がある。まず自らを受け入れた優しい埼玉南部の住民たちに迷惑をかけないことだ。そして合法の移民に法律上の立場を変え、納税や遵法などの義務を果たし、健康保険などの公的サービスを堂々と受けられる立場になるべきだ。権利は義務を伴う。そして長い目で見たら、そちらの方が必ず自らの利益になる。そのためには普通の真面目な日本人、日本の産業界と良い関係を作り、「ぜひクルド人に日本にいてほしい」と、言ってもらう状況を作り出すことが必要だ。

その前提としてクルド人側も「人権屋」「政治屋」「極左活動家」「誤報を垂れ流すダメメディア」など、変な日本人支援者との縁を切るべきだ。彼らは社会に役に立たないし、日本人の大半にも嫌われているノイジーマイノリティだ。付き合っても利益にはならない。

このクルド人の善行が広がり、クルド人問題が日本で軟着陸をすることを期待したい。私は移民賛成派である。外国人との共生の成功例を作りたい。私の力は微力だが、報道の立場で、日本を良くする、日本に幸せを広げる動きは支えたい。

石井孝明

経済記者 with ENERGY運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

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