再エネ資料の中国ロゴ問題、追及はなぜ鈍い?-エネルギーが外国に狙われる

石井孝明
ジャーナリスト

(このたび、外国人問題、経済安全保障問題のサイト「Journal of Protect Japan」を立ち上げた。エネルギー、環境政策の解説を行う「with ENERGY」と共に、利用いただきたい。双方向のやり取りを期待する。意見、感想をぜひ寄せていただきたい。)

奇妙な事件、メディアは沈黙

内閣府「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(再エネTF)構成員の大林ミカ氏が政府に提出した資料の一部に、中国の国営送配電会社「国家電網公司」の社章の透かしが入っていたことが3月に発覚した。

(写真1)問題の中心、河野太郎特命担当大臣

大林氏は「ミス」と釈明し構成員を辞任。しかし大林氏が政府や国際機関に提出した資料でも透かしは見つかった。中国企業の資料を大林氏が頻繁に利用していたことがうかがえる。中国企業が同財団を通じ日本の政策に影響を与えようとしたという疑惑は消えない。

再エネTFは反原発を主張する河野太郎内閣府特命担当大臣が作り、日本のエネルギー政策の批判に使ってきた。これは政府と自民党に打撃を与えられる問題で、日本維新の会や国民民主党が国会で追及している。しかし他の野党やメディアの大半は静かだ。なぜだろうか。

(写真2)内閣府の資料に入った中国企業のロゴ
(写真3)ロゴの拡大

メディアに支援される反原発活動家

理由は予想できる。大林氏は、孫正義氏が作った再エネの過剰重視と反原発を主張する自然エネルギー財団の事業局長だ。そして日本の反原発運動の中心の原子力資料情報室出身で、研究実績のない政治活動家だ。それなのにメディアに異様な量の登場をしていた。また立憲民主党、共産党の議員と密接に関わってきた。

彼女はそういう人たちにとって、反原発、再エネの過剰な振興策、政府批判を唱える仲間だった。そのために批判もできないのだろう。

私は以前から何度かシンポジウムで、彼女と顔を合わせていた。その過剰な再エネ賛美をおかしいと思い、間違った点を指摘すると怒鳴り返されたことがある。冷静に議論のできない人だと思った。彼女は「高木仁三郎の弟子」とさまざまな場で繰り返していた。高木氏は反原発活動家で、主張は問題点も多かったが、人の話を聞き、人格的には高潔で、冷静な人だった。高木氏の長所を受け継いでいない。弟子なのか疑う人だ。

試しに朝日新聞の記事データサービスで「大林ミカ」と検索すると2024年4月まで、大林氏は本紙で28件、アエラなど同社グループメディアも含めると38件も登場した。個人では異例の数だ。ところが問題発覚後は1件だ。ここまで頻繁に、研究者でもない一活動家が朝日新聞に登場するのは異様だ。

同紙は「(ひと)大林ミカさん 国際太陽エネルギー学会の賞を受けた」(2017年11月27日記事)と彼女をほめて紹介。「原発ゼロをたどって:6 仲間はもう増えないのか」(2018年7月31日記事)で、立憲民主党議員らと共に原発ゼロ基本法案作成に動く彼女を「「自然エネルギーのジャンヌ・ダルク」と呼ばれている」などと称えた。
東京新聞は事件について「これって再エネヘイトでは?」(今年4月20日)と、この問題をめぐる記事を掲載。「原子力ムラの巻き返し」などの識者コメントを載せ、再エネ叩きが騒動の理由との奇妙な記事を書いた。

この大林氏の異常な支援は、メディアの偏向報道と言ってよいだろう。

中国企業が日本に政治工作を仕掛けた?

しかし、これでいいのだろうか。岸田文雄首相は、この問題をめぐり3月25日の参議院予算委員会で「外国が日本のエネルギーシステムに関わることはあってはならない」と、質問に答弁した。事の本質は、そこにある。

外国の企業が、日本の反原発の活動家を通じて、日本のエネルギー政策に影響を与えたかどうかが、問題解明の焦点であるべきだ。

そして、この再エネT Fは河野太郎氏が主導で作られた。同TFは、河野太郎氏が内閣府特命担当大臣(行財政改革、規制改革、国家公務員制度担当大臣)になった2020年に作った。彼は一度離任した後に2022年に内閣府特命担当大臣(デジタル政策、規制)に再任され、再びこの委員会を動かした。河野氏主導で動いているため、通称「河野委員会」と呼ばれる。経産省と電力会社批判に熱心なTFだ。

しかし、奇妙な組織だ。委員会という呼称を正式には使わない。また委員も構成員という名前だ。これは政府の特別委員会は、利害関係者を委員にしてはならない。大林氏は、再エネ事業も行う孫正義氏の作った自然エネルギー財団に籍がある。彼女たちを活用するために、このような曖昧な位置付けにしているのかもしれない。

真相究明を第三者によって行うべき

河野氏は原子力、既存電力会社、そして経産省に敵意を持ち、反原発、反核燃料を主張する。そして中国の政府、企業と親しい。その中で、このようなT Fを活用し、自分の主張に使うことは問題だ。「大林氏のミスと聞いている」と河野氏は繰り返す。しかし、それは本当か。第三者による検証が必要であろう。

河野氏は、敵とみなしたものを攻撃するために、さまざまなものを利用しようとする「癖」がある。敵とみなした経産省や電力業界を叩くために、外国勢力を活用する、自分はそんな外国勢力もコントロールできると考えているなら、それは甘すぎる考えだ。中国企業はしたたかで、財力もある。

個人が再エネ振興、反原発の主張をすることは自由だ。しかし、そうしたきれいごとを表に出しながら、裏で中国政府が日本にエネルギー分野で政治工作をしているかもしれない。警戒をしないまま、日本のメディアはエネルギー問題を報道する。行動の危うい意味を、当事者たちは分かっているのだろうか。

この問題の真相究明を進めてほしい。そして過去に、問題のある人を記事で支援したことを釈明してほしい。またエネルギー政策をめぐるエネルギーを外国に乗っ取られたら日本の存立が危うくなる。自分の存在する日本という国を壊そうとしている人たちが、残念ながら日本にいる。

石井孝明
経済記者 with ENERGY運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

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