化石賞? 気候変動で中国でなく自国を批判する奇妙な日本メディア

石井孝明
ジャーナリスト
(写真)気候変動問題で、北極圏に住むシロクマが温暖化によって絶滅するという危機が過去20年叫ばれた。ところがそれによる保護の結果、生息数は横ばいだ。現実と合わない騒動の一例(iStock)
(写真)気候変動問題で、北極圏に住むシロクマが温暖化によって絶滅するという危機が過去20年叫ばれた。ところがそれによる保護の結果、生息数は横ばいだ。現実と合わない騒動の一例(iStock/LYagovy

現在(11月14日)、COP27(第27回気候変動枠組条約締約国会議)がエジプトで開催されている。日本のメディアは、いつもの通り、気候変動問題で、表層的なつまらない報道と解説をしている。日本が「化石賞を受賞した」などだ。そのおかしさを指摘し、報道にとらわれずに、私たちが何をするべきかを考えたい。

日本はダメ、化石賞…いつものパターン

日本メディアが最近のCOPで言うことは毎回、同じだ。たいてい以下の4つである。どの記者も、気候変動交渉の経緯を勉強していないし、外国で取材できないのだろう。

  1. 世界は気候変動で危機にある。日本の愚民ども(私の意見ではなく、メディアの見方)はそれを知らないので、私たちの記事を読め。
  2. 日本は遅れている。今回も(日本)「本気度なし」と朝日新聞が11月13日の記事に出した。私はこの記事の中身を読んでいない。
  3. 世界の意識高い市民が集まっている。
  4. その証拠に日本は「化石賞」を受賞した。それをどの日本メディアも取り上げる

全部無意味な議論だ。

日本は成績低下だが環境問題の「優等生」

以下、手短に説明する。

1について。気候変動は起き、それが人為的な化石燃料の使用で起きている。ただし、その解決策は経済活動の停止であり、実効性のある対策は取るのが難しい。また気候変動は即座に人類が滅亡するような破滅的なものではない。別にその問題を知らなくても、日常生活には関係ない。

2について。最近のCOPの議題はパリ協定(2015年)で決まった各国の削減策の肉付けである。そもそもパリ協定は、かなり曖昧な内容で、誓約と審査(自分で目標を設定し、それを他国に審査してもらう)の緩いものだ。履行義務もない。途上国が金をくれと騒ぐが、日本が乗る必要ない。強制力を強めると、その国際体制が瓦解する。会議は曖昧に推移し、何も大きなことが決まらない状況が続くはずだ。日本は変な義務を背負って、格好つけなくて良い。実際に強制力を強めた京都議定書(1997年成立)体制は2010年に先行きが決まらず崩壊した。

3について。気候変動をめぐる交渉は、あのグレタ・トゥーンベリさんをはじめとして、昔から国際環境NGOが介入して混乱を引き起こしてきた。COP25(スペイン)ではグレタさんが会場から追い出される場面もあった。平日からエジプトに出かける暇で、怪しいNGOの言うことを、日本人が聞く必要はない。日本は世界で最もエネルギー効率の高い国の一つ「だった」。これはこの10年、原発を動かさず、化石燃料の使用量が増えて、統計的に怪しくなっている。

4について。化石賞は気候変動ネットワークという、国際環境NGOが会議を傍聴し、毎日、後ろ向きの(彼らの価値観で)発言をした国をランキングする賞だ。海外のメディア、特に欧州のメディアも環境派よりだが、いくつもあるNGOの意見の一つという扱いで大きく取り上げない。勉強しない日本のメディアは、日本を貶めるニュースが大好きなので、大きく取り上げている。大した話ではない。

なんで中国を日本のメディアは環境問題でも批判しないのか

私の4つの指摘は、日本で流れる議論とはかなり印象が違うだろう。それぞれ山のように論証のための証拠を挙げられるが、1つ示してみよう。

(図)世界の温室効果ガス排出ランキング(出典・全国温暖化防止活動推進センター)
(図)世界の温室効果ガス排出ランキング(出典・全国温暖化防止活動推進センター

図は2019年の世界の温室効果ガスの排出量ランキングだ。日本は世界3位の経済規模があるのに、温室効果ガスの排出量は世界で5位。省エネを頑張っている。日本のメディアも、化石賞を与えるNGOも、中国やアメリカを激しく非難しない。

ちなみに中国が、世界の環境NGO、メディアに資金援助して世論操作をしていることは、日本では伝えられないが英文の記事や報告でたっぷり出ているので、このサイトで今後紹介していこう。

多分、日本のメディアの記者は勉強不足と、他の真似報道という事なかれ主義で、環境問題をリポートする。だから、外国の報道を読み、問題を知る人にはつまらない。政府を批判してればいい他の政治記事や、警察や検察のいう通りに書けばいい社会記事と違って、書き方がわからないから、横並びの内容になるのだろう。

分析の足りない日本メディアと、それに同調する意識高い系と違って、私たち普通の日本人は日々の仕事に忙しい。地球環境の問題を細かく追いきれないのは当然だ。私は皮肉屋ではあるが、もちろん地球環境と温暖化の進行を憂いている。ただ、それのために自分の生活を根底から変えるのは嫌だ。おそらく、それは誰も同じで、誰もが今の経済活動を切り下げて、100年先に影響が出るかもしれない温暖化問題の対応をしたいとは、思わないだろう。別に、こうした報道を無視してもいいはずだ。

メディアに怒っても無駄、利用してやろう

だが、こうやって踊る人たちがいるなら、私たちはそれを信じなくても、踊る人たちを冷笑していても、利用すればいいと思う。どうせ日本のメディアの質の低さは、ずっと変わらない。

有名なアメリカの相場格言がある。「パーティーを楽しんでね。ただし、酒の位置と、出口の場所は忘れずに」。

つまり、みんなが騒ぐなら一緒に楽しむべきだ。しかし酔っ払いすぎず、すぐ逃げ出せる準備をしろということ。

もちろん環境問題、気候変動問題について配慮をし、自分のできることを考えるべきだ。しかし、地球の危機だなどと軽薄に騒ぐ人たちに同調するのは時間の無駄。自分のビジネスでも、生活でも、環境志向が評価され、儲けに結びつくなら、その状況をとことん利用してやればいいと思う。

コメントを残す

YouTube

石井孝明の運営サイト

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

最近のコメント

過去の記事